事業承継研究会ライブラリー

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廃業を考える卸売事業者に新たな可能性を

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安定的な事業承継の実現が国を挙げての課題となる昨今、
株式会社ワールドファミリーゼネラルコンサルティングは、
税理士、司法書士など各分野のエキスパートによる“事業承継研究会”を発足させました。
個別具体的な事例を検討し、多様なケースに対して最適なサポートを行うためのノウハウを蓄積しています。

 

現在、研究会が特に注目しているのは“卸売業界”。卸売業界が抱える課題を、司法書士の飛田幸作さんはこのように語ります。

 

「インターネット販売などの普及によって、メーカーとユーザーが直接つながり、商品を販売できるようになっています。
それゆえ、従来、両者の間をつないできた卸売事業者は、その存在価値を問われています。
機械、アパレル、食品など、専門とする領域に関わらず、ただ商材を仕入れて流す仕事では生き残っていくのは難しい。
“斜陽産業”ともいわれる中で、事業変革に試行錯誤する経営者の方々もたくさんいます」。

 

こうした業界全体の状況は事業承継にも影を落としています。企業の先行きを不安視して後継者が見つからず、
自分の代での廃業を選ぶ他ないと考える人、あるいは社屋や倉庫などの資産も含めて、
他社への譲渡を検討する人が少なくないのです。
さらに、無策で廃業や事業譲渡をしてしまい、経営者の手元に負債だけが残り、将来に不安が抱えるケースもあるといいます。
しかし、それはとてももったいないことだという飛田さん。

 

「自社の価値を低く見積もり、安価に手放してしまう方がいますが、きちんと検討すれば手元に資産を残す道も見つけられます。
物流倉庫などの物件をお持ちの場合、あるいは事業運営において
独自のノウハウを持っている場合などは、適切な評価がなされるべきです。
私たちのチームでは、“事業承継診断”や“廃業診断”を行い、企業のもつ強みや資産を客観的に可視化します。
仮に決算書の数字が芳しくないものであっても、そこからだけでは見えない価値もある。
大事に育ててきた企業ですから、納得のいくかたちで未来を考えてもらいたい。
廃業の場合、従業員の雇用の問題もありますが、うまくいけば継続して働く場を用意することもできます。
それは社会的にも意義のあることです」。

 

卸売業は下火になっている業界。だから、後継者は見つからない。廃業するしかない。
そうして悩める経営者たちへのサポートが求められています。心血注いできた事業の未来にどんな可能性が考えうるのか。
研究会では、適切な選択を示すため議論が熱を帯びています。