事業承継研究会ライブラリー

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均等な出資による法人設立の落とし穴!?
資本構成のミスで生まれた事業承継時のトラブルを検証

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次世代への安定的な事業承継が国をあげて促進されています。
株式会社ワールドファミリーゼネラルコンサルティングは、税理士、司法書士など多分野の専門家が集う
“事業承継研究会”を組織し、毎月1回議論を重ねています。
7月の定例会では、前月に続いてトラブルが起きやすいケース、実際に問題が起きた事例について検討がされました。
法人設立時の出資額をめぐって発生した問題が話題の中心に。

 

近年、事業を始める際、あるいは、法人を設立する際に、友人同士で資金を出し合うケースが少なくありません。
「共同で経営をリードしていくので出資時にも平等さを求める」。
話としてはわかりますが、このやり方が後々トラブルの火種になり得るかもしれない。
税理士の水野祐志さんからこんな事例の紹介がされました。

 

「20年ほど前、ある法人の立ち上げの際に、社長とその弟子が同額の出資をして、株も50%ずつ持ちあいました。
その後、弟子はその会社を離れて、社長が経営を続けてきた。
先日、その社長が亡くなって、事業や資産は親族が受け継いでいます。
けれど、そのタイミングで、弟子が自分の持っている株を全て買い取って欲しいと言ってきたんです。
親族としては、相続税の支払いもあるのに、急に株を買い取るために1億円を超えるお金も必要になった。大慌てですよね」。

 

この場合、ご家族が買い取れなければ、他の誰かに株が渡ってしまい、
会社に対する大きな権限をまったく関係のない人が持つ事態もあり得ます。
こうしたトラブルを防ぐために大切なことはなにか。水野さんはこう続けました。

 

「出資し合うにしても、最初に先々を見据えた資本構成を整えるのは必須です。
子世代、孫世代まで引き続いていくつもりなら、それが実現できるように株を持っておかなくてはいけない。
経営していく中で、もしも関係の薄い人に株を保有されることになるなら、
議決権は有しない種類株をつくるなどの対策もあります。
ただ、このあたりの設計はかなり難しいので、私たち専門家を頼りにしていただけるといいですよね」。

 

水野さんの事例をもとに「50%、25%で出資し合った場合」など、
パターン分けしながら想定される問題についても意見を交換。
これから設立される企業でも注意喚起すべき点でもあり、
専門家の立場からアドバイス、サポートしていく方針が確認されました。