事業承継研究会ライブラリー

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制度改変を活用する方針を定めるとともに、留意すべき許可の要件を確認

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安定的な事業承継の実現を目指し、国による様々な後押しも実行される昨今。株式会社ワールドファミリーゼネラルコンサルティングは、税理士、司法書士など各分野のエキスパートたちによる“事業承継研究会”を発足し、定期的な議論を重ねています。

 

9月も定例会を実施し、先月に続き建設事業者へのサポートについて議論しました。話題の中心になったのは、2020年に改定された建設業法。譲渡も含めた事業の引き継ぎが容易となった中で、改めて懸念される許可の要件を確認し、助言の方向性を決めました。

 

許可事業である建設業。許認可を受けていないと、500万円以下の案件しか請け負えないなどの制約があります。事業承継において、身内や社内に後継者が見つからず、組織や事業を他者に引き継ごうとした場合、この許認可の問題が二の足を踏む要因となってきたといいます。従来は事業譲渡に伴い、引き継ぐ事業者が新たに許認可を取得しなければなりませんでした。しかしながら、2020年10月の建設業法改定によってこうした状況に変化が起きたと税理士の水野祐志さんから説明がされました。

 

「事業譲渡あるいはM&Aなどの際、事前に申請をしておけば許認可も引き継げるようになりました。これまでは、事業を受け継いだものの、許認可のために書類作成や審査などの煩雑な手続きがあり、クリアするまでに数ヶ月かかっていた。利益の生まれない時間をきらって、事業承継が成立しないケースも多分にありました。空白期間が無くなったことで、事業承継を積極的に考えられるようになったと思います。事業承継を後押しする国の姿勢も窺えるので、この改定を私たちも活かしていきたいですね」。

 

承継のハードルが下がったことに研究会のメンバーからも期待を寄せる声が続いた。その上で、税理士の神谷保宏さんからはこうした指摘が。

 

「引き継ぐ側が要件をきちんと満たすためのフォローも改めてしていくべきだと思います。例えば、建設業を営むには経営業務管理責任者が必須です。事業だけ切り分けて譲渡したい、けれど引き継ぐ先にこの役職に就ける人がいないと問題になる場合もあります。建設業界での役員並みの経験が5年要るポストなので、他分野の事業者が引き継ごうとする場合は特に注意が必要です。許認可は容易になったものの、時間をかけた綿密な承継準備の必要性を引き続き伝えていきましょう」。

 

建設業法の改定もあり事業承継できる可能性は広がりました。一方で、許可事業である以上、引き継ぎが容易になったとはいえ、適切な承継ができるように整えるべきことはいくつもあります。事業を受け渡す側、引き継ぐ側、そして、仕事を依頼するお客様。誰もが将来的に安心できる承継を実現するために、留意点の確認とサポートの方針が定められました。次回も建設業についての検討がなされる予定です。